地震調査委員会の地震発生確率の計算

地震が起こるたびに気になっていた地震予測の確率計算を調べた。

文部科学省地震調査委員会の「長期的な地震発生確率の評価手法について」

2001年の資料になるけど計算方法の概要が書いてあって、ざっと読んだだけなので間違っているかもしれないけど、理解したことを書いておく。

過去3回以上活動があった断層では、地震発生の確率の計算は、

  1. パラメトリックなモデルであるBPT分布を仮定し、該当する断層の過去の地震データからパラメタを最尤推定(BPT分布のあるパラメタについては、ほかの地震のデータも用いて補正をかけているみたい)
  2. 地震の発生確率は、「今後A年での発生する確率はX」という形で出したいので、先ほど求めたBPT分布を所望の期間で積分して求める

としているようだ。3回に満たないものはもう少し工夫しているみたいだけど、そこまで読み切れていない。

この記事がわかりやすい。

ただこの方法だと、パラメタを最尤推定で求めるので、過去数回のサンプルしか存在しない断層に関しては信頼できない値になっていそうだ。例えば、まれに人が単独で参拝に来る山奥の神社があったとして、そこに訪れた過去3人から、次の参拝者がいつ来るかを予測しないといけない。たまたまその3人の間隔が狭ければその影響が予測にそのままでてしまう。そうではなく、パラメタに分布をもたせ、物理的な制約や事前知識を事前分布として入れこんで求めれば(かつその事前分布は似たようなメカニズムの地震に関する知識と過去データを入れこめるので)予測精度は向上するのではないだろうかと思った。

たしかに、東海地震の確率計算については、過去の地震サンプルをどこまで東海地震と認定するかによって、発生確率は大きく左右されているっぽい。
過去の統計だけだと地震の予測精度向上は望めないから、物理モデルをどこまで入れこめるかの勝負になってくるのかな。


あと、下の記事タイトルにあるように70-80%という幅を持たせた表現だけど、確率はXX%と一つの数値で表現できるのだから、なんで範囲をもたせているのだろう。大人の事情でこう表現せざるを得なかったのか。そこまでは調べきれてない。

東南海地震:今後30年以内に70〜80% 2013年01月11日